決定的瞬間
フランスの有名な写真家にアンリ・カルティエ・ブレッソンという人がいましたが、彼が自分の写真集につけた『決定的瞬間』と言う言葉がありますが、それまでの写真と言えば大型の写真機でスタジオ内の人物や、大きな三脚を立てて風景を撮っていたのですが、ドイツのライツ社が1930年ごろ映画用の35mmのフイルムを使ったカメラ、ライカを市販したのをきっかけに、何処にでも持って出かけられるこのコンパクトなカメラが大流行しました。
大流行と言っても、ライカはとても高価で日本では家一軒が買えるほどの値段だったそうです。
このカメラをいち早く使って撮りまくった写真集が 『決定的瞬間』です。おじちゃんも当時としては高価な本でしたが一冊持っています。それまでは不可能とされていた人々の日常生活の動きの一瞬を切り取ったことで大変話題になりました。
現在でも伝説的な写真家として世界中で信奉者がいます。戦争写真で有名になりベトナムで死んだロバート・キャパもブレッソンと同じ「マグナム」と言う写真集団の一員でした。(ロバート・キャパも『ちょっとピンボケ』と云う写真集がある)
おじちゃんは常々思うのですが、写真は色々なものを撮っていいのですが、やはりその根底には『決定的瞬間』という意識が常に付きまとわなければと思っています。
つまり写真は芸術と云うよりも、記録としてのほうが重要だと考える一人です。その時の何を伝えるかが一番重要だと考える方です。綺麗に撮るよりも、たとえブレていても何かが伝わればよいと考えています。
でももう何十年とカメラ関わっているのに、いわゆる『決定的瞬間』の写真は撮れません。もう生涯撮れないかも知れません。
一度でもいいですから自分の納得する『決定的瞬間』を、と願っています。