シルバー川柳
〈あちこちの骨が鳴るなり古希古希と〉
〈年をとり美人薄命うそと知る〉寄る年波を笑いにくるんでポイしたりする「シルバー川柳」で、しばしお楽しみを
▼女性のほうが何かと若い
〈夫より三歩前行く老後かな〉
若く見せたい見られたい
〈化粧品リフォーム詐欺と妻は言う〉
夫の独り言はこう続く
〈化粧する昔話も化粧する〉
▼病院で
〈昼寝して『夜眠れぬ』と医者に言い〉
長寿ニッポンは次のような光景も生む
〈長寿者に『ひけつ』なにかと医者が聞き〉
答えていわく〈老木は枯れたふりして新芽出し〉
▼ 家庭で
〈来てやった貰(もら)ってやったで五十年〉
〈五十年かかって鍋と蓋(ふた)が合う)
振り返れば〈それあれで通じるまでの幾(いく)山河〉
〈あれはそこそれはあそこにちゃんとある〉
そうかと思えば
〈メモ帳のしまい場所にもメモが要る〉
〈孫優しさっきも聞いたと言い出さず〉
▼出かけた先では、
〈お辞儀して共によろけるクラス会〉
でも、会話は弾んで
〈八(や)十(そ)路(じ)越え大器晩成まだ成らず〉と意気盛ん
100歳以上は全国で4万人を超えた。超長寿社会はこういう光景も生むかもしれない
おじちゃんが一番の傑作と思ったのは
〈その昔恐竜見たかと問う曾孫〉
そこでおじちゃんも一句
「アレ、コレと 代名詞だけで 会話する」
「初恋に 出会った夢覚め トイレ行く」
「可愛いと思っていた人 孫五人」