都電 路面電車

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師子文六が、こんなことを書いている。『都電ぐらい乗り心地のいいものはない。まず軌道の上を走ることが、魅力である。』『あのノロノロ都電が、思ったよりも早く、目的地へ運んでくれるのである。乗降に手間のかからない点もあるが、ノロノロにみえて、あれで、見かけによらず、速いのである。朝の六時ごろに、池袋から数寄屋橋まで、都電に乗ると、十七分で行ける。これは、地下鉄よりも速いのである。』

 

不忍通りに走っていた都電は、はっきりとは覚えてはいないが、池袋から上野広小路まで走っていたように記憶しているが、なにしろ40年も昔のことだから、判然とはしない。

都電は、今のバスよりも余程便利で、分かりやすかった。車の交通量の増加に伴い、おそらく、地方出の政治家や役人たちが、廃止してしまったのだろう。

今、全てが残っていれば、地下鉄のように迷うことも、階段を、嫌と言うほど、上ることもなかっただろう。全て新しいものが素晴らしく、便利だとは限らない。何でも壊してしまうのは、テロと同じようなものだ。

 

アメリカが作った憲法は、70年近くも後生大事に守りながら、100年以上歴史ある、日本人の知恵でもある都電網は、完全に壊して、不便にしてしまう。なんか違うような気がするのだが。