日本人の美意識

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蹲(つくばい)に無造作に置かれた栗の枝ですが、自然との和を尊ぶ日本の心が感じられます。

こんなに狭い坪庭に充満する和の心、日本人の美的感覚は世界一だと思います。

 

戦国の茶人"千利休"が重んじた「わび」「さび」の世界。おじちゃんは華美に陥らず、落ち着いた自然との融和こそ、日本の美だと解釈しています。

キンキラ金が好きだった信長や秀吉の趣味は、大陸の文化をそのまま取り入れたどぎつく、自然を尊ぶ日本人の感覚からは遠いものがあったと利休は感じていたのでしょう。そんな感覚の違いも秀吉との亀裂の原因の一つではなかったのでしょうか。

 

今のテレビや雑誌など、商業主義から華美に走り、特にテレビなどはエログロナンセンスの典型です。特に関西から吉本が東京に進出してきてからはひどくなりました。やはり日本の東の方は、大阪系の下品で低俗な芸や笑いは受け入れたくありません。

日本の美とは自然の中に、さりげないもてなしの心を感じるものだと思います。日本の笑いは「落語」の中に隠された『上質な笑い』が基本でした。

 

現在落語が衰退しているのは、あながち演者不足だけの問題ではなく、聞く側の理解不足が問題なのでしょう。志ん生師が言っていたように、昔は田舎のほうに行くと、落語を話してもお客はチンプンカンプンな顔をしていた、世の中の酸いも甘いもよく分かっていないと、落語と言うものは理解できないですから、と。確かに落語の『笑い』にはある程度の教養が必要です。

 

日本の美にはもっと高度な感受性と知識が必要です。安易なものに流されやすい現代においては、そうしたものは敬遠されてしまうのでしょう。残念です。