父の思い出

 

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何処からかあまーい香りがしてきました。かなり強い香りです。周りを見回すとそばの家の塀から黄色の枝が見えました。「キンモクセイだ」と思わず叫んでしまいました。

父が住んでいた国立の玄関の横にこの木が植えてあり、今の時期から初冬にかけて、小さくてあまり見栄えの良くない花をつけていました。そばを通る人の中にも気が付く人がいて、その香りの主の小さな花を見上げたりしていました。

少し強い香りなので、それほど好きではないのですが、この香りには否応なく父の家の思い出が含まれていて、匂いとともに父が思い出されます。

イギリスには匂いを歴史と関連付ける研究者もいるそうです。過去の記憶も呼び起こす「歴史のにおい」を保存している女性いわく、
においは「他のものよりも人間的な方法で自分を歴史につながらせてくれる」と語るそうですが、匂いの強い歴史的建物をそのまま保存してしまうという研究らしいです。

確かに匂いには記憶をよみがえらせる作用があります。40年以上も前に住んだカリフォルニアのバークレーで初めて使った石鹸の匂いを嗅ぐと、その当時のことが思い出されますし、料理の匂いにもその地独特の個性が思い出させますし、それぞれの街にも匂いというのがあります。